2013年7月3日水曜日

ディティールのリアリティが全体のフィクションを支える

投資詐欺 身近にある罠から資産を守る法 (講談社プラスアルファ文庫)で気に入ったところ。
大型詐欺師(著者曰く「一流の見識を持っている」「優雅で端正で礼儀正しい」)が、政治家の冗長なスピーチを評していったことより。


「モーゼの十戒は二九七語で、リンカーンのゲティスバーグ・スピーチは二六六語だった。
独立宣言は三〇〇語だし、般若心境は二六二文字だ。
だいたい重要な意味をもつ内容というのは三〇〇語内外のものではないだろうか。
彼のスピーチの原稿はなんと四〇〇〇語以上もある」

そういわれると、「彼のスピーチ」にかかる前の列挙が正確で精緻だから、その政治家のスピーチがやたらと冗長に感じられる。
(中略)
細部ディティール真実性リアリティが全体の虚構フィクションを支える」のだ。

一流詐欺師(大型詐欺師・ビックコンマン)には、綿密さ・忍耐力。工夫力・独創性、さらには、野心・持久力・厳しさ、集中力・団結力・分類整理能力、そして並外れた自信が備わっているという。(まるでジョーカー・ゲームに出てくるスパイのようだ)
彼らの行動文法ソシオグラマーを理解すれば付き合い易いという。

これについては、中野好夫の「悪人礼賛」を引用して表現していた。

思い込みの強い善人より、相手の立場を察する悪人の方が付き合い易いと思ったこともあるのでなんとなく理解できる。